腸内フローラ検査キットは、自宅で便を採取して郵送するだけで、腸内にいる細菌の種類や割合を調べられるサービスです。ここ数年で選択肢が一気に増えた一方、解析の方法も、届くレポートの中身も、料金の考え方もサービスごとに違います。

本サイトは、その違いを「どれが優れているか」ではなく「自分がどの条件に当てはまるか」で整理するために作りました。選び方から、主要サービスの並び、検査でわかることとわからないこと、申し込みから結果が届くまでの流れ、つまずきやすい点、レポートに出てくる用語まで、このページだけで確認できます。

検査キット選びは、5つの分かれ道で決まる

検査キットを比べ始めると、まず料金と検査項目数に目が行きます。ただ、そこから入ると候補は絞れません。項目数の多さは、そのまま「自分に必要な情報の多さ」とは限らないからです。

先に決めるべきなのは、自分がどちら側の条件に当てはまるかです。次の5つを順番に決めていくと、候補は自然に2〜3個まで減ります。

  • 自宅で完結させたいか、医療機関を通して受けたいか
  • 菌の分類は「属」まででいいか、「種」まで知りたいか
  • 一度きりで終えるか、期間をあけて変化を追いかけるか
  • 数値を読むだけでいいか、食事の提案まで欲しいか
  • 誰が受けるか(受ける人の年齢、家族での利用の有無)

それぞれ、何を基準に決めればよいかを整理しました。

1. 自宅で完結させるか、医療機関を通すか

自宅型は、申し込みから結果の閲覧までをオンラインと郵送で済ませられます。通院の手間がなく、思い立ったときに始めやすいのが利点です。一方、医療機関を通すタイプは、結果を医師や専門職に見てもらいながら受けられます。気になる症状がすでにある場合はこちらが向きますが、受け方も料金も取り扱う医療機関によって変わるため、事前の確認が必要です。

2. 「属」までか、「種」まで知りたいか

細菌は「属」という大きなまとまりの下に「種」があります。市販キットで広く使われている16S rRNA遺伝子の解析では、まず属のレベルで構成を把握することが多くなります。同じ属でも種が違えば働きが変わることがあるため、細かく見たい人は種まで判定できると案内しているサービスを選ぶことになります。ただし解析が細かくなるほど料金は上がる傾向があります。

3. 一度きりか、変化を追いかけるか

腸内の状態は、食事や生活習慣、体調によって動きます。そのため一度の結果は「その時点の記録」に近いものです。食生活を変えた前後を比べたいなら、同じサービスで再度受けて並べたほうが読み取りやすくなります。この使い方をするなら、過去の結果を見返せるか、2回目以降の料金がどうなるかを最初に確認しておいてください。

4. 数値を読むだけか、食事の提案まで欲しいか

結果を受け取ったあとに多くの人がつまずくのが「それで何をすればいいのか」です。数値とグラフだけが並ぶタイプと、食事や生活習慣の提案まで添えられるタイプがあり、後者は次の行動につなげやすくなります。サポートの形は食材の提案、専門職への相談窓口、定期便との組み合わせなどさまざまで、手厚くなるほど費用は上がります。

5. 誰が受けるか(年齢・家族での利用)

見落とされやすいのが対象年齢です。サービスごとに受けられる年齢の下限が決められており、たとえば自宅で受けるタイプのマイキンソーは6歳以上が対象と案内されています。また、キットは1人分が1セットです。家族で受けるなら人数分が必要になるため、想定より費用がかかることがあります。

費用の考え方と、相場をどう見るか

まず前提として、自宅で受ける腸内フローラ検査は公的医療保険の対象外です。医療機関で受ける場合も、健康状態を調べる目的の検査は自費になります。費用は全額が自己負担になると考えてください。

そのうえで、初回の金額だけを並べても判断を誤ります。送料が別なのか、定期便と組み合わせる前提の価格なのかで、実際に支払う総額が変わるからです。「一度きりでいくらか」ではなく「自分の使い方で1年間にいくらか」で見比べると、候補の順番が変わることがあります。

先に決めておくこと
「いくらまでなら納得できるか」を比較の前に決めておくと迷いにくくなります。キャンペーン価格は時期で変わるため、金額は各サービスの公式サイトで確認してください。

主要サービスを、同じ条件で並べてみる

ここでは、前の章の1つ目の分かれ道「自宅で完結させるか、医療機関を通すか」を軸に、受け方の異なる4つのサービスを並べます。順位付けはしていません。得意な領域が違うため、目的が変われば向くサービスも変わります。

サービス名受け方解析・分類の考え方
マイキンソー自宅で完結(郵送)16S rRNA遺伝子の解析で腸内細菌の構成を把握
Body Granola自宅で完結(郵送)腸内フローラをタイプに分類して提示
Flora Scan医療機関を通して受けるタイプ分類で腸内環境を提示
健腸ナビ自宅で完結(郵送)疾病リスクの傾向を幅広く分析

それぞれ、どういう人と噛み合うかを短くまとめます。

  • マイキンソー:自宅で完結する形式の中では提供期間が長く、基準になるデータの蓄積を重視する人と噛み合います。自宅で受けるタイプは6歳以上が対象と案内されています。
  • Body Granola:食品メーカーが関わるサービスで、結果をタイプで示すため受け取ったあとのイメージがつかみやすい形式です。定期便を組み合わせるかは申し込み時に確認してください。
  • Flora Scan:医療機関を通して受ける形式です。結果について人に説明してほしい人に向きますが、料金や受け方は取り扱う医療機関ごとに変わります。
  • 健腸ナビ:疾病リスクの傾向を幅広く見たい人向けの構成です。あくまで傾向であり、病気の診断ではない点は最初に押さえておいてください。

料金と検査項目は改定やキャンペーンで動くため、各サービスの公式サイトで確認してください。掲載するサービスの選び方は情報の品質と掲載の基準にまとめています。

検査でわかること、わからないこと

期待と実際がずれやすいのが、この部分です。先に線を引いておくと、結果が届いたときの受け止め方が変わります。

わかること

  • 腸内にいる細菌の種類と、その割合のバランス
  • 細菌の多様性が、どのくらい保たれているか
  • 注目されている菌が、自分にどのくらいいるか
  • 同じサービスで再検査した場合の、前回からの変化

わからないこと

  • 病名。腸内フローラ検査は診断を目的としたものではありません
  • 症状の原因。結果と体調の関係は、そのまま因果として読めません
  • 体重や肌の状態がこれからどうなるか、という予測
  • 特定の菌を増やしたときに体調がどう変わるか、という確実な見通し

疾病リスクの傾向を示すタイプのサービスもありますが、これも診断ではありません。示されるのは傾向であって、病気の有無を判定するものではないという点は、どのサービスでも共通しています。気になる症状があるときは、検査結果で自己判断せず、医療機関に相談してください。

そのうえで、現在の状態を数値と図で見えるようにできることには意味があります。何となく不調を感じている状態から、食生活を見直す具体的な手がかりを得る出発点として使うのが、無理のない位置づけです。

申し込みから結果が届くまでに、実際にやること

自宅で受けるタイプの流れは、どのサービスでもおおむね共通しています。手順そのものは難しくありません。

  1. 公式サイトから申し込み、キットが自宅に届くのを待つ
  2. 同梱の説明書に沿って、指定された方法で検体を採取する
  3. 問診票やアンケートに回答する(サービスにより web での入力)
  4. 返送用の封筒に入れて投函する
  5. 解析が終わると、専用ページなどで結果を確認できる

実際に手間取りやすいのは2番目です。採取したあと何日以内に返送するかはサービスごとに決められており、置いたままにすると解析に影響が出ることがあります。投函できる日をあらかじめ決めてから採取したほうが確実です。結果が届くまでの期間もサービスによって差があり、数週間かかることは珍しくありません。急ぐ場合は、申し込む前に目安の期間を確認してください。

「意味がなかった」となりやすい4つの落とし穴

費用をかけて受けたのに残念な結果になるパターンには、いくつか共通点があります。事前に知っておけば避けられるものばかりです。

  • 目的を決めずに申し込む:何を知りたいかが決まっていないと、届いたレポートをどう読めばよいかがわかりません。数値を眺めて終わってしまいます。
  • 診断だと思って受ける:病名がわかると期待して受けると、必ず期待外れになります。検査の役割は現状を見えるようにすることです。
  • 体調が普段と違う時期に採取する:発熱中、下痢が続いているとき、暴飲暴食の直後などは、普段の状態と離れた結果になりやすくなります。
  • 結果を1回で完結させる:腸内の状態は変わります。一度の結果だけで良し悪しを決めつけると、判断を誤ることがあります。

抗生物質を飲んでいる期間について
抗菌薬を使用している時期は、腸内の細菌のバランスが普段と大きく変わることがあります。服薬中や服薬直後の採取を避けるよう案内しているサービスもあるため、申し込む前に各社の注意事項を確認してください。判断に迷う場合は、処方を受けた医療機関に相談してください。

レポートに出てくる言葉だけ、先に押さえる

レポートには日常では使わない言葉が並びます。全部を理解する必要はありませんが、次の8つを知っておくと読みやすくなります。腸内細菌と健康の関係については、厚生労働省のe-ヘルスネットでも基礎的な解説が公開されています。

腸内フローラ

腸の中に生息する多数の細菌の集まりを指す言い方です。種類ごとにまとまって存在する様子が花畑にたとえられたことから、この呼び名が使われています。腸内細菌叢(そう)とも呼ばれます。

16S rRNA遺伝子の解析

細菌が共通して持つ遺伝子の一部を読み取り、どの細菌がどれくらいいるかを調べる手法です。市販の検査キットで広く使われています。細菌を培養せずに構成を把握できる一方、細かい分類には限界があるとされます。

属と種

生物の分類の段階を表す言葉で、大きなまとまりが「属」、その下の細かい区分が「種」にあたります。同じ属でも種が違えば性質や働きが異なることがあります。

多様性

腸内にどれだけ多くの種類の細菌がいて、その割合が偏っていないかを示す指標です。レポートではスコアやグラフで表示されることが多く、腸内環境を見るときの基本的な項目として扱われます。

短鎖脂肪酸

腸内細菌が食物繊維などを分解する過程でつくられる物質の総称で、酢酸、酪酸、プロピオン酸などが含まれます。腸内環境との関わりが研究されており、レポートでは産生に関わる菌の量として示されます。

酪酸産生菌

短鎖脂肪酸のひとつである酪酸をつくる細菌をまとめた呼び方で、特定の1種類の菌を指す言葉ではありません。レポートでは、この働きを持つ菌の量がまとめて示されます。

エクオール産生菌

大豆に含まれる成分から、エクオールと呼ばれる物質をつくる働きを持つ細菌です。この菌を持っているかどうかには個人差があるとされ、レポートで有無や量が示されるサービスがあります。

日和見菌

腸内細菌を善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つに分けて説明するときの区分です。腸内の状況によって働き方が変わるとされる菌をまとめて指します。わかりやすさのための分け方で、厳密な分類ではありません。

よくある質問

採便のタイミングに決まりはありますか

時間帯を指定しているサービスは多くありませんが、採取してから返送するまでの期間には目安が決められています。採取後に日数が経つと解析に影響が出ることがあるため、投函できる日を決めてから採取するのが確実です。詳細は各サービスの説明書に従ってください。

抗生物質を飲んでいる期間は避けたほうがいいですか

抗菌薬を使用している時期は腸内の細菌のバランスが普段と変わることがあり、服薬中や直後の採取を避けるよう案内しているサービスがあります。時期をずらす目安は各社で異なるため、申し込み前に注意事項を確認し、判断に迷う場合は処方を受けた医療機関に相談してください。

結果が届くまでの目安はどのくらいですか

サービスによって差がありますが、数週間かかることは珍しくありません。たとえばFlora Scanは、キットが到着してからおよそ4〜6週間で結果を確認できると案内しています。急いでいる場合は、申し込む前に各サービスの公式サイトで目安の期間を確認してください。

家族で同じキットを使い回せますか

できません。キットは1人分が1セットで、検体も1人分しか採取できない構成になっています。家族で受ける場合は人数分の申し込みが必要です。また、受けられる年齢の下限がサービスごとに決められているため、子どもが受ける場合は条件を先に確認してください。

検査結果で病気がわかりますか

わかりません。腸内フローラ検査は腸内環境の状態を把握するためのもので、病気の診断や治療を目的としたものではありません。疾病リスクの傾向を示すサービスもありますが、これも傾向であって診断ではありません。気になる症状があるときは医療機関に相談してください。

一度の結果を、どこまで信じていいですか

その時点の記録として受け止めるのが適切です。腸内の状態は食事や生活習慣、体調によって変わるため、同じ人でも時期が違えば結果は変わります。一度の結果で決めつけず、生活を見直す手がかりとして使い、必要であれば期間をあけて同じサービスで比べてください。

本サイトの立場と、掲載の基準

本サイトは、腸内フローラ検査キットを比べるときの判断材料を整理している編集部運営のメディアです。順位を付けて1つを勧めるのではなく、条件ごとにどれが噛み合うかを示す形をとっています。

数値や料金は、公式に確認できたものだけを載せています。それらしい数値で埋めることはしません。また、健康に関わる内容を扱うため、実在の資格を持つ監修者を立てられるまでは監修表記を置かない方針をとっています。

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